そして4限目
物理の授業中、なぜか教室全体が美味しい。割と嗅いでいるうちに腹が減ってくる系の匂いだ。
と思っていた授業終盤、頭部の形状から「ホームベース」や「シクロペンタン」などの異名を持つ1人の学生が密かに爆睡を始めた。
授業終了後みんなが席を立って話をしながら教室を去っていく喧騒の中で、彼は尚も慣性の法則に従って静止し続けた。教室に残って雑談していた学生が突発的に大笑いしたり、「お願いです、起こさないで下さい。」と書いた紙を彼の机に置く学生が居たりと、時折外力を加えようとするものの一向に加速度ゼロ。
私も授業終了から5分ほどその場に居たが、全く有意な変化が見られない為、観測を中止し教室を後にした。