紀州鉄道

これをこの日のうちに片付けておかないと以後の予定に支障が出るので、真っ暗闇なの承知で乗りに向かう。


 
なかなか風情のある車両が入ってきたぉ。


 
う、美しい…( °ρ°)


板張りの床を進んで座った席は、弾性が低く、腰を下ろすとペコっと凹んだきりなかなか戻って来ない。数少ない白熱灯も、千鳥式にそのうち半分だけが灯されている。
夜来たことで、かえってこの老躯の情感をたっぷり感じ取れたのかもしれない。だとすれば大正解だ。


小さい頃に一度だけ、那須塩原紀州鉄道ホテルに泊まったことがあり、こんな豪華な温泉宿を作ってる紀州鉄道っていうのは、どんなにスゴいんだろう― そう思った。きっと当時の私があの列車や駅を見たらショックを受けただろう。
「あぁ、やっぱりあの“紀州鉄道”だ」―  今にして見たからこそ、初めて出る言葉だ。