心外最終日

担当患者のオペ日。
心臓外科は血が飛ぶと危険なのでシールド付きのマスクを着ける事になっていた。このマスクは整形外科でも使ったが、あの時は呼気ですぐ曇ってしまったので、今度は呼気が全部マスクの下側から漏れるよう密着させた。


いつものように手を洗って手術室に入り、いつものように滅菌ガウンを受け取る。




ただ、1つだけいつもと違ったのは、これが鼻筋まで覆うタイプのガウンだった事…



極度に感染を嫌う心臓外科の手術ならば当然の事なのだが、そのせいでせっかく下に逃がした呼気と、いつもなら首もとでリリースされるはずの体幹から上ってきた熱気が、逃げ場を失って一斉に鼻筋に押し寄せ、術野に入って数分でシールドは真っ白に…


滅菌手袋の上から唯一触れる口元のガウンをずるずると下げて対応しようとしたが、これだと清潔処理が充分ではないという事で、術野を離れ後ろからモニターで見る事を余儀なくされた。orz


心臓に触れなかったのは無念だったけど、同じく術野外にいた看護師の人がモニターを指差しながら今何をしているのかを細かく説明してくれたので、手術経過は理解に難くなかった。