山間駅に30秒の喧騒

トンネルを抜ける。


前の女性がカメラと財布を手元に携える。私も同様に臨戦態勢をとる。


峠駅到着。峠の力餅の売り子のオバチャンの姿を確認するも、オバチャンが立っているのは後ろの車両の停車位置だ。
前の女性が小走りに後ろの車両に向かう。何も知らない周りの乗客が( ゜д゜)ポカーンとする中、後を追って私も向かう。
ガラガラだと思っていた車内から、これだけ人が居たのかと驚くほど何本もの千円札を握った手が伸びたかと思うと、餅の箱を持った手が車内へ戻っていく。


停車時間わずか30秒。すぐに列車は駅を後にした。9年前、碓氷峠在りし日の横川駅で味わったあの一瞬の闘いを思い出しながら、買った餅をしまった。
この日の夜、北山形駅の待合室で空腹に耐えかねて12個入りのうち5個を食す事になるが、餅は柔らかく餡は甘すぎずな感じで食べ応えも充分だった。w